「LiFEWORK」self liner notes
Track1:凛ダンス
昨年9月にリリースされたsingle。
いつもどこか満たされない。
臆病でそのくせ自分本位で。
20代も終わりを迎えようとするタイミングで、そんな甘えた自分に喝を入れたくて作った曲。
しっかりと地に足がついた強さを持ちながらも、柔らかで繊細な彩りがある、そんな女性に少しずつなっていければと思うのです。
その為に、例えカッコ悪くても一瞬一瞬を大切に生きて行きたい。そんな意思表明。
アレンジャーは武部聡志さん。
武部さんと共有した楽曲の完成予想図は、「ただ綺麗なだけの曲にしたくないね。」っていうこと。
ピアノがキラキラしている分、ギターの音色をちょっと汚そうとか、レコーディングの現場でもバランスを相談して作っていきました。
この曲は、サビの展開が1.2.3番全て違うという少し変わった構成なんですが、歌詞に抽象的な表現が多いぶん、メロディーの展開をあえてワンパターンにせずドラマチックにすることで主人公の心の成長を詞&曲一体となって表現しています。
ラスサビでは前田さんのベースラインが、まさに「舞い踊る」様に動いていて、気持ちの込もったプレイは何度聴いても感動してしまいます。
Track2:しあわせのレシピ
いわゆるワルツと呼ばれる6/8拍子の曲が大好きで、「2013世界の菓子まつり」の為に楽曲を書き下ろして欲しいとオファーを頂いた時から、ワルツしばりで曲作りを始めました。
Dメロに出てくる「おざなりはやめて 少し丁寧に暮らそう」
この歌詞にテーマが集約されているかなと。
大人になると自分の「物差し」が決まってきて深く考えず無意識にその物差しで物事を測ってしまうような気がします。
料理でいう「目分量」。
もちろん経験を生かしてこその目分量も大切ではあるけれど・・。
もしかしたらそのせいで身の回りに起こっている大切なサインを見落としてしまってはいないかな。
失ってから気づくのではなく、目の前の日々と人と丁寧に向き合って生きてゆきたい。
そんな事を考えて作ったら、「お菓子」のようにキュートでスウィートなメロディーに、哲学的でビターな歌詞が乗っかってしまった非常にkainatsuらしい曲。
アレンジメントの部分では「幼稚園の合奏」のようなイメージでガシャガシャと色んな楽器が鳴っています。
それぞれの楽器の登場シーンをしっかり決めていくことでそれが場面転換になっているんですね。
お馴染みのバンドメンバーで敢行したレコーディングでは、なんと1テイク目でOKが出るという最短Recとなりました。
ちなみに2番のAメロに出てくるキッチンの色んな音たち。
その内のいくつかは、マネージャーS氏自宅にて録音されたもの。笑
Track3:ツヨガールシンドローム
自分を含めた(笑)すべての「不器用なツヨガール」に捧ぐガールズアンセム!!!
私も「く、くそぉー絶対見返してやるぅぅ!!」っていうなんとも悔しビターな恋をした事がありますが、こういう類の恋バナになった時の女子の結束力ってハンパないと思う。笑
歌詞はまさにそんなシチュエーションを描いてます。
実は最初のデモ段階では、イントロの「オッオオッオ」っていうコーラスは1人で歌ってたし、アレンジもオルタナティブロックな感じだった。
でも、Bメロの「あいつが あいつがぁぁ」って拳を握る演歌風フレーズは曲を作った当初からあって。
そこを面白く思ってくれたアレンジャー二宮さんのアイデアで、当初の創作イメージを覆す、この最高に楽しい歌謡ロック風のアレンジが生まれました。
レコーディングでは「カッコいいフレーズ禁止!ダサいフレーズしか弾いちゃだめ」という非常に辛い指令がメンバーに出され、みんな見事にそれに応えてくれました。笑
でも絶妙なオルタナ感もあって、古いような、新しいような不思議な世界観がちょっとやみつきでしょ?
「男なんてバッキャロー!!!」
そんな気分になった時は、ゼヒこの歌をカラオケで熱唱して下さい♡
LIVEでもみんなで一緒に歌えたらいいな。その時は男性陣もご一緒に!笑
Track4:ダンスはNO REASON
ピアノ&アコギ meets ダンスミュージック。
宅録感溢れるチープなシンセのフレーズが気に入ってます。
今回のアルバムの中では唯一生ドラムと打ち込みのリズムが混在してる曲。
クラブやライブハウスで、そこにいる人たちの悲哀と孤独のカケラが音に混ざって飛び散っていくあのかんじ。
みんなワーワー楽しそうに騒いでるのに何故か切ない。
あの刹那的な雰囲気に、無性に身を投じたくなる時があります。
「どうしていつもこんなに 満たされない気持ちを数えてる 求めている」 という歌詞はそんな想いから生まれたフレーズ。
この曲はremix作ったら面白いんじゃなかろうか。
やってくれる方、大歓迎お待ちしてます!!!( ॢꈍ૩ꈍ) ॢ
Track5:facebookとチューインガム
作った当初からLiveでやると必ず反響を頂いてた曲。(珍しくエレキギターで弾き語りしてました)
なんとなく気まずい相手から友達申請が来ちゃった・・そんなシチュエーションを通して、自分の過去と対峙する(っていうと少し大げさだけど)、そんな事がテーマになっています。
「憎しみや悲しみに賞味期限はない」というフレーズは3.11の震災を受けての言葉でもありました。
最初に作ったデモは、歪ませたエレキを3本重ねて、口笛とエレピのシンセをループさせ、悪夢のような浮遊感とオルタナ感漂う暗い曲。笑
でもこの曲は決して恨み節ではないし、しかも一番最後に一番伝えたいことが出てくる。
だから重たすぎて最後まで聴けない曲になっちゃ意味ないなと。
アレンジメントではそんな事を意識して、フィルム映画のように叙情的なアレンジにしました。
MVもまさにそんな質感。
初回盤で是非ご覧ください♡
Track6:Dearマッサカ様
信頼してた人に裏切られた!
いつの間にか恋人に浮気されてた!
などなど人生には思いもよらない出来事が降りかかることもあります。
あまりにありえな過ぎて笑うしかないような状況。
心身が受けるダメージは相当なもの。
なのに、空腹におなかがグゥーッて鳴ったり、友達の励ましの冗談にクスッと出来た時。
「ああ、私の灯はまだ消えてない。大丈夫」
自分の生命力が蘇ってくるのを感じます。
そんなに簡単に消されてたまるか!とも思います。
「まっすぐまっすぐに行けよ うまく軌道線に乗れよ一生会わずにすむくらいに」
ここの歌詞は、この人ヒドい事言うなぁって(自分で書いてんだけどw)、歌いながら楽しくなる大好きなフレーズです。笑
転落してく様を表現した、ドラムのタム回しがお気に入り!!
コミーさん頑張ってくれました。
嫌なことも、あっち向いてホイっ!で裏返せば、元通り以上の良いことがあるんだぜ!!
そんな前向きなパワーを注入しました。
Track7:melancholy
なぜ?なぜ?どうして?
人間っていうのはあーだこーだ余計なことばかりすぐ考えてしまう。考えるのが好きなのだ。
だけど考え過ぎて、勝手に想像して、臆病になったりすれ違ったり。
めんどくさい生き物です。
去年から猫を飼い始め、彼と一緒に生活しているとそうやって悩んでることが何だかバカらしく思えてきてこんな曲ができました。
でも、本音を言えば、ニンゲン同士あーだこーだ言い合いながら生きてくのもなかなかに悪くないんですよ。(と、猫に言いたい)
私には珍しいJazzyなこのナンバーで小粋なホンキートンクピアノを奏でてくれたのは、ノリくんこと鈴木謙之氏(ex.ズータンズ)!!!
コーラス、演奏共に、メンバー全員の音があたたかくて楽しい1曲。
最後にはスペシャルゲスト(?!)も登場してます。
Track8:愛すべき君のグレーゾーン
今年1月にリリースしたシングル。
心友に向けてのラブレターとしてこの曲を作り、Liveでも2年以上大事にあたためてきたこの曲の中で歌う「君」とは、このアルバムに出てくるすべての主人公に当てはまる。
ということは、私自身でもあるんだなと改めて思います。
この曲のアレンジをしてくれた野間さんとは、実は5年ほど前から面識があったんですが、今回始めて一緒に制作することが出来ました。
Single仕様に闇雲に派手にするのは嫌で、ちゃんと「言葉」が伝わる様にしたいと、作業では沢山ワガママを言ってしまったんですが、全部受け止めてくれた野間さんに心から感謝!!
とにかく端から端までコダワリが行き届いている素晴らしいアレンジメントをして頂いたので、何度聴いても発見があると思います。
そしてbassを弾いてくれたのは、2010年までLIVEサポートをしてくれてた同い年のベーシスト・ゆーこー氏!!更に磨きがかかったbassで、とても大切にプレイしてくれました。
こんな再会があると、また頑張って前進しようと思える。
色んなパワーが詰まった1曲です。
Track9:いつかの春のメロディー
昨年、大好きな祖母を亡くしました。
病床の祖母に会いにいく時、私は帰り際「バイバイ」と言ったらもう会えなくなるような気がして、いつも願掛けのように「またね」と声をかけていたのですが、結局「またね」のまま、祖母は旅立っていきました。
いつまでも手を振って私を見送ってくれた最後の笑顔。
決して忘れることは出来ません。
ほどなくして、生命を引き継ぐように甥っ子が生まれました。
大切なひとを失っても日々はやってくるし、喪失の先にもちゃんと喜びや、幸せがある。
それが生きていくということなんだなぁと思います。
もう触れることは出来ないけれど、不思議とすごくそばに感じる瞬間があります。
嬉しくて、寂しくて、あたたかい気配。
お守りなような大切な1曲です。
Track10:ワールドレコード
前曲「いつかの春のメロディー」の流れから一転、なんだかひょうきんな(笑)ギターフレーズで始まるこの曲は、実はJ-POPにしてはとっても音数が少ない。
サビに行くまで楽器2つしかなってないし。笑
でも、その潔さ、シンプルさこそが「ワールドレコード」の肝!
そして、一度バンドがドンガラガッシャーンと鳴り出したらそこからはもう終わりまで一気に転がっていくだけ。
底抜けに明るいのに、なぜだか儚い、夏祭りみたいな曲。
LIVEの時、いつも終盤のほうにやる方がしっくりくるのはそういう事なんだなあと思う。
この曲を演奏してる時、ステージから見える景色っていつも笑顔なんです。
お客さんも、バンドメンバーも笑顔!
それがね、最高に幸せで最高に切ないの!!!笑
その笑顔をもっともっと増やせたら最高だなって思う。
本当に、そう思う!
Track11:LiFEWORK
10篇の短編小説を読み終わったあとの、オムニバス映画を観終わったあとの、エンディングロールようなつもりで作ったこの曲。
実は今回のアルバムは最後までタイトルが決まらず、すでに仕上がっていた音源を聴きながら私はこの曲たちを通して何を伝えたかったのか、伝えようとしているのか、ずっと考えていました。
そんな時に浮かんできたのが、「私を生きることが 私のライフワーク」というコトバ。
そうだ、アルバムのタイトルは「LiFEWORK」にしよう!!!
綴りのアイデアも同時に浮かんできて、すぐ興奮気味でスタッフにプレゼンのメールを送りました。
それぞれの曲に出てくる「わたし」達に、もっともぴったりなワードだと思ったし、それは常に“自分”という存在を哲学して生きてきた私自身をよく表しているワードでもあるように感じました。
「LiFEWORK」=私と向き合い、私と生きて行く
で、ここからが一波乱。
アルバムのタイトルを考えてたつもりが、そのアイデアから曲まで出来てしまった。
しかしスケジュール的に考えても、もう1曲レコーディングするというのはかなり厳しい状況。
私もそれは無理だろうな、と半ば諦めていたんですが、、、
結局いろんなタイミングがうまく転がって急遽レコーディングして今作に収録できることになったのでした。
3分弱の小曲だけど、この1曲が最後にいてくれることで一気に「LiFEWORK」という作品のコンセプトが明確になったように思います。
このアルバムは、色んな女性の生き様を歌っているようでいて一人の女性の心の成長を1枚を通して描いている作品でもあるから。
最後の一音が鳴り終わって静寂が訪れたら、またそこから新しい時間が紡がれて流れだしていくような、清々しい優しさに包まれたエンディングになりました。