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kainatsuロングインタビュー「overcome」全曲解説!!!


 
ーfrom kainatsuー
ラジオパーソナリティ仲間として静岡で出会い、今では公私に渡り交流のあるizumiちゃんに、ALBUMについてインタビューしてもらいました。
とてもリラックスしてお話できましたよ。kainatsu × izumiによる「overcome」徹底解剖!楽しんでもらえたら嬉しいです。
 
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●「overcome」ALBUM interview / Written by izumi ●
 
今年メジャーデビュー15周年を迎えたkainatsuさん。
先日10月26日にはオリジナルアルバム「overcome」がリリースされました。
ご存知の通りシンガーソングライターとしての活動のみならず、ラジオパーソナリティとして、そしてアーティストへの楽曲提供など幅広く活動されていますが、彼女の歌を聞いていつも思うのは「歌う言葉が生きている」ということ。
情景と感情豊かに表現される歌は毎日を生きる私たちの背中を、優しくさすってくれます。
そしてどこか人間味に溢れている曲ばかりだから、聴くと自分はひとりぼっちじゃないと思える。
いつも心のポケットに持っておいて、また取り出して聴きたくなる曲たちがたくさんなのです。
そんな温かく丁寧に描かれる、「kainatsuワールド」はどんな所から生まれてくるのか。
今作「overcome」に込められた想い、そして制作過程についてたっぷりと話を聞きました。
 
◆原点である下北沢で撮影したジャケット
ーーーー今作「overcome」のジャケットはナチュラルでありながら芯のあるナツさんの表情が
印象的でしたが、こうしたい!っていうイメージは当初からあったんですか?
「今回のジャケットは下北沢で撮ったんです。この表紙になっているカットは住宅街の一角で撮影
してる時にメイクさんが『上から撮ってみたらどう?』って提案してくれて。実は当初は全く違う
ジャケットアイデアがあって、そっちのイメージでも撮影をしたんだけど結局周りのスタッフたち
と話して、断然このカットがいいね!ってことになり、これは間違ってないなって。下北にいる時
ならではの自分の空気感ってあると思うし、そこを上手く撮ってくれました」
ーーーーナツさんと下北沢という街は深い縁がありますよね。
「幼少期を過ごした街でもあり、学生時代も遊び場だったし大人になってもストリートライブを
やったり。まさにホームの場所ですが、15年の活動の中で下北でライブをやるのを敢えて避けて
いた時期もありました。定着したイメージを変えたかった時もあったけど、今は原点を大事にし
てます。色んな場所でライブするけど、やっぱり「下北沢南口」っていう曲の人気って圧倒的なん
です。お客さんに楽曲投票してもらうライブをやった時も皆が投票してくれる曲で。独学で書いて
自分の中から出てきた曲が長く聴いてもらえるってすごくありがたいです。だからこそライブでは
必ず歌うようになったし、こうやってずっと聴きたい!って思ってもらえる曲は大切ですね」
ーーーー私の周りでも「下北沢南口」カラオケで歌ってる女の子いました!
「そういうお声をたくさんもらってて本当にありがたいです。今思うとデビュー当初は自分のこ
とでいっぱいいっぱいだった。下積みもほとんどなく、でも歌いたいと思って活動していた所に
色々なご縁があり、デビューが決まって。そこから目まぐるしい毎日で、ライブも全国各地でや
るので時には朝起きたら『ここはどこだっけ?』っていう状態もあったり。
だから当時はたくさんの人に届ける、とか届いてるとかそこまで考えられなかったな。若かった
なぁ」
 
◆「曲順、曲間」にこだわった今作。止めんなよー!(笑)
ーーーーそんな激動の日々もありながら、デビュー15周年。セルフプロデュース3作目となる今作
は10曲入りで、通しで聴いて心地の良いアルバムに仕上がってます。
「曲順はなんとなく考えていて、アレンジを担当してくれたhuenicaにも仮の曲順を伝えてアレン
ジを作ってもらいました。そうすると曲順の繋がりでイントロとかアウトロが結構変わるんだよ
ね。今はアルバムを全体で聴くことは少ないかもしれないけど、今回はぜひこの順番でも聴いて
ほしいので、曲間をほぼ作らなかった!止めんなよー!っていう気持ちで!(笑)。ずっと流しなが
ら聴いてて、その時の気分でこの曲がハマるなぁって感じることあるじゃないですか。そんな風に
流し聴きしても気持ち良いように。もちろんお気に入りを繰り返し聴いてもらっても嬉しいけ
ど、やっぱり作り手として曲順は大事だよね」
 
◆Song Review ー楽曲解説ー
1. Voyager ~はじまりの景色~
ーーーーアルバムの幕開け、ずっしりとした重厚感のあるピアノから始まる曲を選んだのは何か理
由があったんですか?
「先行配信されてた『三度目の桜並木』と『日めくりカレンダー』への感想で癒されます!ってい
うお声が多くて、もちろんそういう風に聴いてもらえるのは嬉しいんだけど、それだけで終わり
たくないなっていうのがありました。コロナ禍での制作で、huenicaのアレンジも私の声も耳心地
が良い感じの声だと思うんだけど、それだけじゃないメラメラした自分の中にある熱さみたいな
ものを表現したくて。だからといって熱さを全面に出すのが必ずしも良いわけではないし、大変
な中で皆それぞれが頑張ってるからね。その熱さを押し付けるのではなく、聴き込んでいった
り、ふとした時に感じてもらえたらな、と思って1曲目に選びました」
ーーーー深く染み渡るような歌声とピアノでひとつひとつの言葉がよく伝わってきます。
「曲の中で『ずっと頑張ってきたんだね』とか『君が何者でもなくなったとしても』って歌詞が
あるけど、コロナ禍で色んな人達の環境が変化する中で、そう言われて中には腹立たしい気持ち
になる人もいると思うのね。でもたとえそう言われたとしても、あなたの気持ちを受け止めるか
らね、っていう心で書いた1曲です」
 
2. overcome
ーーーー1曲目「Voyager ~はじまりの景色~」の終盤に夜明けが訪れるような景色が浮かんで
きましたが、次曲の「overcome」はエレクトロな音に乗せて始まる新しい朝の風景ですね。
「前作の『BOOKMARK』に『Boyfriended』っていう曲があるんだけど、それっぽい曲をこの
アルバムにも入れたくて。『Boyfriended』同様、女の子のプライドとか弱気な部分を彷彿とさ
せるガーリーな歌詞と80’sっぽい打ち込みを取り入れたアレンジになっています。ドラムも打ち
込みでシンセベースなんですよ」
ーーーー個人的にナツさんとhuenicaのお2人にはアコースティックなイメージが強かったんです
が、こういう打ち込みの曲の制作はいかがでしたか?
「huenicaの2人の音楽的引き出しは本当に広いよね。曲に色付けしていくようにアレンジをして
くれて、変な常識がなくて一緒に作業をしてて面白いです。今回のアルバム制作はコロナ禍ってい
うこともあって、私が1人部屋にこもって人に会えない中、曲作りをしてたんだけど、
huenicaの2人はそういう『どうやって曲が生まれたのか?』っていうのをとても大事にして、気
持ちを寄せてアレンジしてくれるんですよね。そういう背景もあって、今回のアルバムは全体的に
みんなでバンドでせーの!って言って演奏するような画が浮かばなかったから、2人も部屋にこ
もって打ち込みしてシンセ弾いて…ってやってくれたみたいです。曲に深く潜ってからアレンジす
るっていう寄り添い方がすごくて、歌に合わせて色んな工夫をしてくれるのは制作しててやりやす
かったし、楽しかったです」
 
3. 天気の話
ーーーー3曲目の「天気の話」はライブでも披露されたことがあったので、アルバム収録が嬉し
かったというファンの方も多いと思います。
「一昨年はコロナ禍でライブが全然出来なくなっちゃってたんだけど、それから少し経って久し
ぶりに弾き語りでライブをやった時に歌った曲です。そこからはずっと歌ってきてる曲だね。
タイトルになってる『天気の話』っていうのはみんなと共有できる話題。ラジオでも話すようにし
ています。外にいた人はもちろん、1日中室内にいた人にもお知らせできる話題だよね」
ーーーー最初のほうの歌詞にある「分厚いうろこのワニみたいな気難しい表情」という表現は本
当にナツさんならではだなぁと思ったし、自分もそういう顔になってる時あるぅ!(笑)
「そういう顔になってる時、みんなあるよね!?ワニ感わかるよね?(笑)でもそういう仏頂面って
心を許してる人にしか見せないよね。待ち合わせしてるんだけど、変に笑顔を振りまかなくて良
い、頑張らなくても良い相手と会った時のシチュエーションを描きました。
歩きながら時間と共にぽつぽつ言葉が出てきて、話をして…って進んでいくんだけど、
この曲の本当に言いたいことは『会えてよかったよ』っていう最後のサビにあります。
素直にそういう言葉を言えない時ってありますよね。久しぶりに会う照れもあると思うし、もっ
と本当は伝えたい言葉があるのに『天気の話』しちゃう。果たしてその『会えてよかったよ』って
いう言葉を相手に伝えられたかどうかっていうのは、皆さんの想像におまかせしようかなぁ」
 
4. 三度目の桜並木
ーーーーラジオでも沢山オンエアされて、もうすっかりお馴染みの曲ですね!
「アルバムから最初に先行配信されたのがこの曲です。今まではアルバム発売してからリード曲を
オンエアしてたけど、先行配信という形で先に発表できると、改めてアルバムを通して聴いても
らった時に、馴染みの曲が流れてくる安心感が皆さんにもきっとありますよね」
ーーーーこの「三度目」っていうのはどんな意味が込められていますか?
「コロナ禍で今年が『三度目』の春だったからですね。ウィズコロナになって迎える三度目の春
を意味しているんだけど、例えば『見上げる三度目の桜並木』って歌詞があってね。コロナのこ
とじゃなくても、人によっては上京して迎える三度目の春っていう風にも捉えられるよね。
あと何事も三年ぐらい経つと自分に馴染んできませんか?馴染んできたと思ったら微妙に変化して
いるところもあると思うんだけど、そういう『今だからこその気持ち』を残しておきたいなぁと
思って、記録的な意味も込めて制作しました。コロナ禍=会いたい人に会えないっていう状況が
多かった環境の中で、人との距離が遠くなったぶん、人を想う気持ちも強くなったと思うし…
三年経ったからこその今の気持ちを描いた曲ですね」
 
5. no-eden
ーーーーナツさんの曲に『夏嵐の夜』という曲がありますが、あの曲を彷彿とさせるようなドラ
マチックな展開のナンバーですよね。
「歌い出しから蕩けそうな夕陽で、指先が触れててすごくロマンチックな雰囲気なのに、結局切
ない、こういう曲になっちゃうんですよねぇ、、。『え?違うんかい!』っていう突っ込みが入っ
てきそう!(笑) 元々情景を描くのが好きで、初期のアルバムの曲は全部これぐらい細かく情景を
描いてました。自分の中でしっかりストーリーがあって主人公の服装とか年齢とか、そういう描
き方をするのが好きで、今回は江ノ電の曲を書きたいなぁと思って。学生時代に江ノ電で見る景
色がすごく好きだったから、あの素敵な景色を描こう!と思ったのに気がついたらこんな切ない
曲になっちゃってて、あれ?おかしいなぁ、、、」
ーーーー逆に『江ノ電』というテーマでここまで切ない曲書けるのはナツさんしかいないと思い
ますっ!
「せっかく江ノ電の曲書くんだから、江ノ電のタイアップとか取りにいこうよ~!って感じじゃ
ない?なのに「no-eden」って言っちゃってるし、楽園じゃない!ってタイトルで言っちゃって
る。本当ざんねんだよねぇ(笑)仮のタイトルが「江ノ電」だったんだけど、それをアナグラム(言
葉遊び)で入れ替えて、別の意味を作ったのが「no-eden」です。江ノ電の曲を作ろうとしたのに
結局切ない曲になっちゃったから、こういうタイトルもいいかなって。きっとこの主人公は今は
もう夏にはいなくて、別の季節に夏のことを思い出してるんだよね。月日が巡ってるのにずっとそ
の今はなき楽園に心はあるっていう切ない歌ですね」
 
6. ginger honey
ーーーーおうちでゆっくりまったり聴きたいスローナンバーが6曲目の『ginger honey』。
優しいメロディが印象的です。
「この『ジンジャーハニー♫』っていう歌い出しのフレーズが出てきて『あ、ジンジャーハニーっ
て曲作ろうって思いました。私の中で描いたのは男の人が主人公で、幻かな?っていうぐらい儚
く終わってしまった恋のおはなしです。小悪魔的に1人の女の人に魅了された男性の曲を書こうと
思ってね。キッチンっていう言葉が出てくるけど、キッチンっていうパーソナルな場所で2人でい
るって、親密な情景じゃない?でも『君は蜃気楼』のように、幻みたいにいなくなっちゃう、あ
ざとい(笑)女の子を描きました。高校時代からフランス映画が好きだったんだけど、フランス映
画って甘いけどヘルシーなセクシーさもあるじゃないですか。そんなイメージも取り入れまし
た」
ーーーーそしてこの曲はD.W.ニコルズの鈴木健太さんがギターで参加してらっしゃいますね。
「元々ギターのアルペジオ(演奏方法)が入った曲にしようっていうのは決めてました。でも私ギ
ターほとんど弾けないからアルペジオも出来なくて。最初ピアノでアルペジオっぽくアレンジ作っ
てたんだけど、やっぱりこれはピアノじゃなくてギターだなって思って、スリーフィンガーってい
うアルペジオの奏法が自分が知ってる中で1番上手いのが健太くんで。この曲は洋楽っぽいという
か、メロディのブロックが2個しかないんですけど、スリーフィンガーが似合う曲・メロディ構成
の展開が少ない曲としてちゃんと成り立ってますか?っていう意見が欲しくて、そこから話してい
くうちにじゃあアレンジもお願いしようという形になりました」
 
7. Flower Flower Flower / kainatsu & わたなべだいすけ (D.W.ニコルズ)
ーーーーお次は「K-mix LIFE!LIFE!LIFE!」でもおなじみのわたなべだいすけさんとの1曲!
「番組のリスナープレゼントでフルで聴いて頂いたり、番組コーナーの中では少しかかっていたけ
ど初めて音源としてアルバムに収録されました。お花のコーナーのテーマソングを作って下さいっ
ていうオファーを頂いて、種袋に付けてプレゼントする曲を作ろうということでだいちゃんと2人
で考えました。『新しい種送ったよ』って歌詞があるけど、その通りコーナーの趣旨が曲になっ
てます。曲はもうだいちゃんが既に考えてくれてて、それ以外の歌詞を3時間ぐらいで共作しまし
た。掛け合いしたいね、なんて話し合ったりして」
ーーーーやっぱりだいすけさんはキャッチーなメロディと歌声が魅力的ですよね。
「だいちゃんって言葉遊びにセンスがあって、言葉が持つ響きを音に乗せるのも上手だからメロ
ディがスッと入ってくるよね。ラララのジングルもすぐに覚えられるじゃない?歌いたくなるし、
すぐ覚えられるし。『遊園地がいいな』とか『油淋鶏食べたいな』の歌詞なんて、まさにだいちゃ
んワールド!だいちゃんの精神年齢がすごく出てて面白い(笑)。番組を聴いてくれてるリスナーさ
んに「兄妹、もしくは姉弟だと思ってた!」って言われたことがあるんだけど、そういう普段の
ラララでの掛け合いの雰囲気がそのまま曲になってます。カップルなんだけどちょっとふざけてる
ような、自分たちらしい曲に仕上がってると思います。アルバムの中盤でニコルズの2人の音が
入って、それもまた良いエッセンスになってるよね」
 
8. 日めくりカレンダー
ーーーーこちらも先行配信のナンバーですね。
『日めくりカレンダー』というワードもまたナツさんらしくていいなぁと。
「毎日めくる、っていうところがポイントだよね。私は毎朝起きると『昨日よりも良い自分にな
れるぞ』って思ってて。日々色んなことが起きるけれど、毎日めくるたびに新しい気持ちになれ
るっていうのが、この『日めくりカレンダー』というタイトルを思いついたきっかけです」
ーーーー『僕』っていう一人称が出てきますが、この曲の主人公は男性ってこと?
「この曲には『未練』ってテーマがあって。そこで男の人を主人公にしたのは、恋愛を引きずった
時に思い出を綺麗に残せるのは男性なのかなって思ったからなんです。女性は新しく恋をしたら、
今が1番!って更新をしていける人が多いと思うけど、男性はいざとなったらその思い出をまた取
り出して眺められるんじゃないかって。曲の中に『百日紅』っていう言葉が出てくるけど、例えば
好きだった女の子の家の入り口に百日紅があって、女の子がその話をしたら男の子も覚えますよ
ね。そうすると何年も時間が経っても百日紅のことを覚えてる。そういう、ひそかに、でも鮮や
かに心に残る未練や思い出を描いた曲です」
ーーーー明るくカラッとしてる曲だから『未練』っていうテーマは意外でした。私は歌詞を聴い
てナツさんがすくすくと育つ娘さんに向けて書いた曲なのかなって想像してました!
「えぇ!本当に!(驚)。聴く人によって想像するのが違うの面白いね!確かに親子のストーリーだ
と捉えたら『未練』っていうテーマ聞くとびっくりするかもしれないねぇ。男性が歌うとまた違
うイメージになるだろうし、面白いね。みんなはそれぞれどんなふうに聴こえたんだろう?」
 
9. hot milk
ーーーーアルバムも終盤。ここでほっとする1曲が収録されていますが、
これは子供視点の曲ですか?
「私が子供の頃よく寝ぼけて起きる子供で、泣きながら両親の部屋に行くと両親がすごく嬉しそ
うにしてて。『おお、ナツどうした?』って優しく言ってくれて。普段はちょっと怖い父も優しく
声をかけてくれたり、母はまた寝られるまで一緒にいてくれたり、温かい思い出があって、それを
曲にしたいなと思って作りました。夜中にベソかいて起きて、ブカブカのパジャマ着た子供の姿
を浮かべて、絵本みたいなイメージで書いた曲だね」
ーーーーナツさんの曲に「真夜中のランドリー」って曲がありますけど、
夜中っていう時間帯にインスピレーションを受けることが多いですか?
「普段から結構遅くまで起きてるけど、夜って考え事しちゃったりしんどい時間でもあるよね。
悩みがちな時間だけど、だからこそその先の夜明けとか明るいものが待ってると思って曲を書く
ことは多いかもしれない。だって根はすっごく暗いよ(笑)。今はもう昔みたいに暗く考えすぎるこ
ともなくなったけど、そういう根っこの暗い部分があるからこそ、こういう温かい曲や明るい方
向へ向かう曲が書けるのかもね」
 
10. Sunny Side Melody
ーーーーアルバム最後を締めくくるのは「Sunny Side Melody」。
これはどんな思いで書いた曲ですか?
「この曲はシンガーソングライターのヨースケ@HOMEくんが亡くなって、そのヨースケくんのこ
とを想って書いた曲です。超明るいグッドガイで、知り合って2年ほどで亡くなってしまったんだ
けど、短い付き合いの中でも影響がとても大きい人でした。太陽みたいな人で、超明るいのに人
の汚い部分もしっかり受け止めて、明るく照らすような人だったので、亡くなった時は自分も周り
もかなり落ち込んで。同時期に私と同じ年齢ぐらいのアーティストさんも亡くなってしまった現実
を目の当たりにして、人ってこうやって急に亡くなってしまうんだなっていうことを実感しまし
た。そんな中で曲を作ることで自分を救いたいって気持ちで制作したんだけど、ヨースケくんが
とても明るい人だったから、本人が聴いた時に『湿ってんなぁー!』って言われないような曲に
しようと思って、彼も弾いていたウクレレを取り入れて曲を作りました」
ーーーー実際に曲にして救われた部分はありましたか。
「制作に携わってくれた健ちゃん(D.W.ニコルズ)も『出来るだけ切なさをなくして歌ってほしい』っ
て言われて、切なく歌わないことでより響くなと思いました。あとは同じように別れや喪失の気
持ちを感じている時にあったかく寄り添える曲にしたいって気持ちがありました。本当に辛い
時って音楽って聴けないと思うんだけど、そこから少し踏み出した時にこの曲がそばにいてくれ
たらいいなと思います」
 
 
◆インタビュアー:izumiによるあとがき
2時間程たっぷりとアルバム「overcome」の世界を語ってくれたナツさん。
そのどれもが血の通った、思いのこもったkainatsuらしい言葉たちでした。
シンガーソングライターとして、女性として、母として、色んな景色を見ている彼女だからこそ
歌える歌たち。それは私たちの生きる何気ない毎日にヒントをくれるものです。
もしこれから辛いことがあったら「ナツさんならこんな時どう思うのだろうか」って、そっとこ
のアルバムを聴こうと思う。曲を聴いているのに、自分が話を聞いてもらってる気持ちになれる不
思議な魅力のアルバムだよなぁ。みんなもそう思いません?
ナツさんはいつも『誰より やさしい きみのしあわせを願うよ』って背中をさすってくれる。
と、いうわけで これからもkainatsuの音楽にお世話になります。
そして改めて、デビュー16周年(もうすぐ)おめでとうございます!!
心から愛をこめて。 izumi
 
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◆izumi profile
幼い頃からエンターテイメントの世界に強い憧れを持ち、
学生時代からさまざまな音楽に触れる。
高校卒業後、専門学校で音楽知識を学び自身でもバンドを結成し、ヴォーカルを務める。
2012年にラジオDJとしてデビューして以降、番組で数多くのアーティストインタビューを担当。
年間100本以上のライブやフェスを鑑賞していることからライブレポートも執筆。
現在K-mix(静岡エフエム放送)にて音楽番組を含む3番組のレギュラーを持つ。
◆レギュラー番組
K-mix(静岡エフエム放送)
・「K-mix MUSIC SPECTRUM」毎週金曜日11時30分~
・「radio GO OUT」毎週金曜日18時~
・「しずおか星空案内室」毎週水曜日20時30分~